男らしさはどこにあるだろう

強くなるって どんな人だろう


ご注意
このエントリーは「Still Find Another Day To Smile - たぬき日記」というエントリーの続編みたいなものなので、このエントリーを読まれる前に「Still Find Another Day To Smile - たぬき日記」をお読みください。



これは修士2回生の時の話。

ある夜、学部時代の友人(以下、N君)から電話が掛かって来た。学部時代の同級生の女の子が原付バイクで通勤していたのだが、帰宅途上で事故ったのでお見舞いに行こうとの話だった。彼女は片足を半分失うほどの怪我を負ったとのこと。
私が「それって膝より上?膝より下?」と尋ねるとN君は「知らんし、何で今そんな事が気になるねん」とかなり喧嘩腰で怒ってきた。
私が「いや、膝より上だとかなり大変だし」と答えると、N君は「何でそんなに冷静やねん! お前は人の心がないんか!」と更に怒った。
N君は「で、見舞い行く?」と聞いてきたが、私はしばらく冷静に考えた後、「行かれへん」と答えた。
N君は「お前がそんなやつとは思わんかった、見損なったわ」と言い捨てて電話を切った。

その数時間後、より親しいY君から電話があり、「Nから聞いたけど、お見舞い行かんの? オレは行くけど、何で行かんの?」と尋ねて来た。
私は正直に「行ったら、絶対に彼女に『これからのあなたの人生、僕に支えさせてください』って、心にもないこと言っちゃうと思うから」と話した。Y君は私の話にドン引きしていた。
彼女はそんな言葉を望んでないだろうし、変な空気になるだけだが、本当に言っちゃいそうで怖かった。そして、万が一彼女がその言葉を受け入れても、私は演技が下手なので、隣のクラスの子が脳卒中で倒れたときのように、今度もまた同様に、彼女を傷つける結果になるのは目に見えていた。
Y君は私の言っていることに納得がいかなかったようだが、とりあえず私が彼女のお見舞いに行く意志はないことだけ確認して電話を切った。

それから数年後の話。
Y君から、事故で片足を失った彼女が、我々の同級生と結婚したと聞いた。
二人は事故の後から付き合いだしたらしい。
Y君がその結婚の話を聞いた時に、かつて私がY君に話した、私が彼女のお見舞いに行かない理由を思い出して、彼女と結婚した彼も、彼女のお見舞いの時に、私が言っていたようなことをきっと言ったのだろうと思ったそうな。

私はその報告を受けて、最初から自分が出る幕じゃなかったことに正直、ホッとした。

過ぎ去ってゆく日々はむやみに たどりつけない (2019/3/31 追記)

読者の方から次のようなお問い合わせがありました。

  • Q. 「この記事はフェイクで、修士2回生の時の話ではなく、社会人2年目に、同期入社の女性が過労で倒れた時の話なんだろう?」

  • A. この記事の内容はフェイクではなく、実際にあった話をそのまま書いております。
    また、同期入社の女性が過労で倒れた時には私まで連絡が来なかったので、この記事のような顛末てんまつはありません。
    「連絡が来ていたらどうしたのか?」という問いに関しましては、正直、かなり昔の話なので今更いまさら思い返しても想像がつかないです。