そっちの方がずっとよかった そっちの彼と交換してよ

おめかしして何処へ行くの?

隣のクラスの、前にちらっと出てきた、化粧が派手だけれども化粧が下手な子と、もう一人の女の子(以下、Fさん)は共に大阪市内の出身で、同じ高校の同級生だった。
彼女らは「勉強したくて大学に入ったのではない。良い大学に入って、そこで男を見つけて結婚するためだけにこれまで勉強してきた」とぶっちゃけていた。いや、思っていてもそういう戦略は男には黙っておけって思った。
化粧が派手だが化粧が下手な子は、結局、彼女と同じクラスの男子と卒業後に結婚したが、その男性は結局、彼女らと同じ高校の同級生だった。高校時代に射止めとけよ。

君は喋らなきゃ きれいだね

入学して1ヶ月した頃だろうか、隣のクラスのo君(小さい方のo君)が「たぬきさんてどこの予備校通っとったん」と岡山弁で聞いてきた。絶対にお前と違うところだろうと思いながら「駿台大阪校」と答えると、o君は「北予備じゃないん?」と言ってきた。岡山の人間が何でそんなローカルな予備校を知っているんだと思いつつ「違うよ」と言うと、o君は「じゃあ嘘なんだ」と嬉しそうに言っている。
話が見えないのでo君に詳しく聞いてみると、隣のクラスのFさんが私と予備校時代から付き合っていると言っているらしい。そしてその子が通っていたのが北予備だったのだ。
どんなブスがこじらせて言っているのかとあとで隣のクラスを見に行くと、超好みの可愛い子(※あくまで個人の感想です)が丁度、きれいな子(※あくまで個人の感想です。既に「悪魔が笑う お前が誰かを呪う度 - たぬき日記」の中で登場しているTさん)に「予備校違うって話じゃん! どうせ、付き合っているていうのも嘘なんでしょ!」となじられているところだった。
可愛い子(※あくまで個人の感想です)がいじめられている(※あくまで個人の見解です)光景を見て、なんて可哀相なんだと思ったこともあってか、Fさんを好きになってしまった。
しかし、私と実際には付き合っていないのに、付き合っていると言っていた子であるから、頭がおかしい子なのは明白だった。こんな子と関わってはいけないことは頭では分かっていた。
分かっていたはずなのだが、冬休み前頃に、とうとうFさんに話しかけてしまった。
やっぱりというか、Fさんは「卒業したらすぐ結婚したい」と言う。まだ付き合ってもいないのに。
私は大学院に進学するつもりであることと、もしかしたら博士課程にだって進む可能性があることを彼女に説明したが、彼女は「卒業したらすぐ結婚したい」の一点張りだった。
話はまさに平行線で、私はこの問題は解が不能であると思った。私は彼女を諦めることにした。
私は家に帰ってから2日間泣き続けた。何故なぜアン・ルイスのベストアルバムを聞きながら。「女ですもの 泣きはしない」という歌詞を聞きながらワンワン泣いたが、よく考えると私は男である。しかも、振ったのは私の方であるはずなのだが、どうして泣きたくなるのか自分でも分からないまま泣き続けた。
自分でも不思議だが、2日間泣いた後は本当にさっぱりとFさんのことがどうでも良くなった。

かわいいふりしてあの子 わりとやるもんだねと

冬休みが明けた後、隣のクラスのa君(うちのクラスのA君とは別人)が「Fさん、いいカラダしてるやん。付き合いたい」と言い出した。私はFさんのことは本当にどうでも良くなっていたので、言わせておいた。
すると、隣のクラスのMさん(既に「悪魔が笑う お前が誰かを呪う度 - たぬき日記」の中で登場)がしゃしゃり出てきて、Fさんとa君のデートを勝手に立案した。場所はひらパー。なぜならMさんは枚方市の隣の市の出身だったから。Mさんは渋るFさんを「お試しやから。行ってみて楽しくなかったら付き合わなかったら良いだけやし」と説得し、無理やりデートさせた。
結局、二人はひらパーでデートした。Mさんはa君に感想を聞き、a君は「楽しかった」と答えた。Fさんもデートを立案したMさんに気を使ったのか「楽しかった」と言ったらしく、そこでMさんは「それじゃあカップル成立やね!」と高らかに宣告したのだった。
Fさんはどうしてそうなったのか分からないまま、a君と付き合うこととなった。

春休み明けに、その話をa君から聞いた私は、「もう笑うしかない」と棒読みでコメントした。このコメントはa君に向けたものではなく、その場に居たMさんに宛てたものである、
鈍感な私は、その時点でやっとMさんが自分を好きだったことと、Mさんのヤバさを知ったのだった。つまり、Mさんはみずから、最大のライバルであるFさんを排除したのだった。

それから1ヶ月後だったろうか、a君が私のところに来て、「Fが、「たぬきさんが私と付き合ってくれるなら、a君と別れて、たぬきさんとつきあう」って言っているんだけど、どうする?」と言って来た。
こんな悲しく惨めなメッセンジャーがいただろうか。そんなの彼女自身が聞きに来いよと思った。
私は本当にFさんのことはどうでも良くなっていたので、「それは無いです」と答えた。
a君は「ありがとう」と言って去っていた。
べ、別にあんたのこと気遣ったわけじゃないんだからね! か、勘違いしないでよね!
その2人は卒業後、すぐではなかったが、結婚している。

綺麗なあの人は エクボを見せて悩ませる (2019/02/17 追記)

Fさんとa君が結婚したのはFさんが29歳の頃らしい。これでは「卒業してすぐ」とは言えない遅さである。
二人の結婚がさほど早くなかったのは、a君が説得した結果だと思い込んでいたのだが、もしかしたらそうではなかったのかもしれない。
つまり、Fさんは私とならすぐに結婚したかったが、さほど好きではなかったa君との結婚はかすようなことをしなかったのではないか。
と考えると、Fさんが私と付き合っていると嘘を言ったり、卒業してすぐに結婚したいなどと無理を言ったのは、他の女(Tさん)に私を取られたくないため、焦って言ったことだったのかもしれない。
なぜその事に気づいてあげられなかったのか。
こんなこと今頃気づいても遅い。いや、いっそ気づかなければ良かった…。

私を許さないで 憎んでも覚えてて

それから数カ月後、Mさんと実験の授業で同じ班になったことがあった。その実験のレポートを書こうとしたら、Mさんからデータを教えてもらってないことに気がついた。
午後8時ぐらいだっただろうか、Mさんの家に電話をすると彼女の母親が出た。「大学の同級生なのですが、Mさんおられますか?」と尋ねると彼女の母は「あなたがウチの娘をたぶらかしている男ですか!?」と言い出した。とりあえず、Mさんは男と遊びに行っていて、まだ帰って来ていないため、彼女の母がキレているところだったことが分かった。
私は実験のデータを知りたいだけなので、レポートが書けないから折返し電話してくれるように彼女の母に頼んだ。彼女の母親から私に対する非礼を詫びる言葉はなかった。
結局、その夜にはMさんからの折返しの電話はなかった。
意外な形で男がいることが私にバレたMさんは、それでも私から手を引かなかった。Mさんは自分が私と付き合える訳は無いと頭では分かっていただろうが、それ以降も私の恋愛を邪魔し続けたのだった。

Fさんのことがどうでも良くなった私はその後、隣のクラスのTさんが気になっていた。ところが、級友も知らないこの事にMさんが気づき、Tさんの密着マークを行うようになり、Tさんを単独行動させなくなった。これは地味ながら、効果的な嫌がらせであった。
Mさんは、a君とFさんのカップル成立の時もそうだったが、私に伝えたいことだけは教室中に聞こえるような大きな声で宣言してくる。Mさんの「 今日、Tさんの家に泊まるの!」という、本丸陥落のお知らせは、その日3回聞かされた。
Tさんはこのエントリーの最初のほうでFさんをなじっていた子なのだが、彼女は怒りの発火点が低く、今考えればTさんと私が上手くいく訳がなかったと思うのだが、そんなTさんと親友ごっこを続けていたMさんには敵ながら感服する。

どこか遠くへ逃げよう 遠くへ遠くへ逃げよう 逃げた街で冬には 吹雪きに凍ってしまおう

修士2回に上がる時に、私の学部時代の同級生のY君(いつものY君)に「化学メーカーには就職しない」と言ったのが、Y君と高校時代から同級生のMさんに伝わったらしい。Mさんは私が入りそうな会社を色々想像したのだろう。彼女はとある電機メーカーに就職した。私はその電機メーカーも受けていたのだが、他の業種の会社で先に内定が出たため、その電機メーカーは辞退していた。
その電機メーカーの本社は、実は当時私の実家のあった場所から徒歩で10分も掛からない所にあった。その時の実家の場所の道を隔てた隣には、その会社の社員寮があった。
そして、私がその電機メーカーのパソコンを愛用していたのが最大の決め手だっただろう。電気工学の授業にてコンピュータのアーキテクチャの授業を1コマ行ったこともあったし、私の学部時代を知る人なら、私がその電機メーカーに入る可能性はかなり高いと思ったはずだ。
私がMさんの就職先を聞いた時の恐怖は、文字では伝えられていないかもだが、心底怖かったことだけは分かって欲しい。