さけび

さけび 羅針盤
作詞&作曲: 山本精一

もう一切いっさいは はじめの姿すがた残し
みだれるままにまか
振り切った針を さらに進めて
別の何かへ向かう

もっと遠くにあれば 知らないでいたのに
目に見えるものには 目もくれないでいた
いっそ軽くなれたら 気まぐれで生きたら
濃い霧の中でも 迷わずに辿たどりりつけた

一切いっさいは はじめの姿に戻り
元のすみかへかえ
こわれて 置き去りにされたものが
あかしを求めて 踏み絵の上で

一緒いっしょくたに並べた 古傷の中から
そっと選んでみせる 不確ふたしかな記憶
ふっとれた心の 手のうちは見せない
不揃ふぞろいのたましい 言葉じりとらえられて

たえきれないくらいの 時間を追いして
超えられない不安を 追いかけ つぶされて

一せいに すべての音がんで 人の気配さええて
なるように なればいいと思った
こんなに疲れて 笑い合うよりも

風景は どういうわけか いつも同じに見えた
ふと思い出すたび 何もかも消えた
ずっと思い込んでる でたらめの記憶も
うすい時をたばねて それなりに なじんでゆく

たえきれないくらいに 不安を抱えて
出口のない時間を 追いかけ追いして
何もかも許される 時代がはじまった

「さけび」は羅針盤のミニアルバム「会えない人」(2003年)にのみ収録されている。8分57秒ある。「会えない人」が11分以上あるのでそこまで長いとは感じていなかった。次のアルバム「福音」の収録曲よりテンポが良いので、今でも聞くに耐える。

歌詞の内容は、ある程度年齢を重ねないと共感できないだろうね。ていうか、こんな悔いを残すような生き方をしないように。