アポトーシス Original Love
なにも変わったところはない
昼休みの工場 いつもどおり
陽が当たる
いつか途絶えがちなつきあい
いそがしさにかまけ とおいきみを
忘れた
ふいに声がそらをわたる
さようならアポトーシス
吹きさらしの街
さようならアポトーシス
よるのさざ波を手で触る
帰りみち車でここへ寄ったのさ
めずらしく
いくらおもいめぐらしても
わからないから もう テレビ消して
ねむるよ
ふいに声がそらをわたる
さようならアポトーシス
吹きさらしの街
朝がきて駅にいそぐ背広たち
さようならアポトーシス
騒がしい いつもの街
さようなら
ありがとう アポトーシス
「アポトーシス」はOriginal Loveのアルバム「ビッグクランチ」(2000年)に収録されている。
楽曲は未舗装の砂利道を歩くような足音で始まる。この部分は約50秒もある。レクイエムぽい仕上がりの曲となっている。
アポトーシスとは細胞の予め予定された自死のことである。多分、疎遠となっていた友人が自殺したシチュエーションを描いているのだと思われる。と考えると、最初の足音は墓参りなのだろうか。歌詞が抽象的過ぎて理解が困難だが、曲中の主人公が「いくらおもいめぐらしても わからない」と言っているのだから、その困惑を共有するというのがこの曲の楽しみ方なのではないかと思う。
曲の最後にてそれでも続いていく無機質っぽい日常、曲のトーンと真逆の「騒がしい いつもの街」に触れていること、そして「ありがとう」で結んでいる点を私は評価している。